コンプリケーションの中でもミニッツリピーターは、時計制作技術において最もレベルの高い複雑な機構の一つです。ケース側面のレバーを引くことで、2本の小さなハンマーが、ケースとムーブメントの隙間に収められた細いリングを叩き、異なる音色のチャイムを鳴らします。この音を聞き分けることで現在時刻を分単位まで正確に知ることができ、実に720通りの時刻を鳴らし分けるのです。
ピエール・クンツは、このミニッツリピーターを組み込んだ2つのグランドコンプリケーションモデルを制作しました。
ひとつは、時間と分表示をレトログラードで表示する“パピヨン”にミニッツリピーターを搭載したモデルです。
そしてもうひとつが、ミニッツリピーター、トウールビヨン、パーペチュアルカレンダーを組み合わせたモデルです。
3つのグランドコンプリケーション機能を搭載したこのモデルは、閏年や大小の月があり不規則な暦を自動調整して、地球の重力の影響を補正し、チャイムで瞬時に時を告げることが出来る機能を併せ持つ、まさに複雑時計の集大成です。
数々の困難を革新的な発想によって克服し、常に自ら持てる才能と技術の限界に挑戦し続けるピエール・クンツは、この「時の魔法」を完成させたことで機械式時計の歴史に新たな伝説を残しました。